救装機器
生命を守る装備品
防衛省機のパイロットや乗組員の生命維持にかかわる機器のことを、私たちは「救装機器」と呼んでいます。
現代の飛行機の多くは、人間が生存困難なほど気圧が低く酸素量の少ない高高度を飛びます。このため、旅客機に代表される民間機の多くは、与圧といって機内の気圧を周囲の大気圧よりも高くしています。
一方、防衛省機、特に戦闘機のように高度変動が激しく大きな荷重がかかる操縦をする機体は、全ての飛行高度をカバーできるほどの与圧機構を備えていない場合があるため、乗組員が酸素マスクを装着することが有ります。この酸素マスクなどは代表的な救装機器です。
イメージ
酸素の供給源
マスクに供給する酸素をどこから持ってくるかというと、まず液体酸素のボンベを積んで飛ぶという方法が有ります。ですがこれだと量に限りがあるため、酸素を使い切ってしまうと高高度の飛行を継続できず帰投せざるを得ません。
そこで考えられたもう一つの酸素供給源が、エンジン抽気(※)から窒素等のガスを取り除いて高濃度の酸素を生成する「機上酸素発生装置(On-Board Oxygen Generating System:略してOBOGS)」です。
※ エンジンに取り込まれコンプレッサで圧縮された空気の一部を、燃焼以外の用途に使うため「抽き出した」空気。与圧にもこのエンジン抽気が用いられている。
OBOGSの原理
※ 簡略化のため、上の図では酸素と窒素以外のガスは省略しています。
レギュレータの調整作業
新入社員研修で酸素マスクを体験